1988年、深夜の実験的な枠からスタートした『やっぱり猫が好き』。制作を手掛けたイースト・エンタテインメント(当時イースト)とフジテレビジョンによるこの挑戦は、日本のテレビドラマにおけるシチュエーション・コメディの金字塔となった。セットはほぼ恩田家のリビングのみ。豪華なロケーションも劇的な特殊効果もない。だが、カメラが回ればそこには本物の生活と、どこかシュールな笑いが満ちていた。
当時としては異例だったワンシチュエーション形式は、役者の力量をごまかしようのない形で浮き彫りにした。台本があるのか即興なのか判然としない会話のキャッチボール。観客を笑わせようと力むのではなく、お互いの日常を面白がるかのような三人の佇まいに、当時の視聴者は深夜の秘密基地を覗き見るような高揚感を覚えたものだ。