教師を取り巻く労働環境の激変も、別れの文脈に影を落としている。文部科学省が主導する働き方改革や部活動の地域移行、さらには過度なコンプライアンス意識の浸透によって、教員が放課後に生徒と個人的な雑談を交わす時間すら削ぎ落とされた。日本PTA全国協議会などの現場でも、教員の多忙化とメンタルヘルスの悪化は長年深刻な議題として叫ばれ続けている。
疲弊する学校教育の現場で、教壇に立つ側もまた「傷つきやすい一人の労働者」であるという冷酷な現実がある。かつてのような絶対的権威ではなく、制度の軋轢に耐えながら生徒と向き合おうと苦闘する教師たち。卒業という節目に彼らが救われるのは、上辺だけの賛辞ではなく、「あなたの払った犠牲と注いだ配慮を、私はちゃんと見ていた」という生徒側からの静かな承認の眼差しだ。