物語の原点は、ごく普通の高校生であった主人公・朝倉アキオが解体屋で見つけた1台のスクラップ車両でした。深みのある独特の青に塗られたその車こそ、かつて首都高で数々のクラッシュを引き起こし、ドライバーを死傷させてきた因縁のS30Zだったのです。
アキオがこの車に乗り込んでから、首都高湾岸線を舞台にした果てしないハイスピードバトルが幕を開けます。最大のライバルである外科医・島達也が操る「ブラックバード」こと漆黒のポルシェ911ターボとの壮絶な追走劇は、単なる速さの競い合いを超え、クルマとドライバーが命を削り合う狂気の世界を描き出しました。
乗り手を拒むかのように暴れ狂う挙動を示しながらも、アキオの手によって再び命を宿したZは、まるで自らの意思で走ることを望んでいるかのような魔性を放ちます。この「機械に魂が宿る」という圧倒的なリアリズムこそが、読者を虜にした最大の理由です。