合成洗剤の中核をなすのが界面活性剤だ。水と油という本来混ざり合わない物質を馴染ませ、汚れを浮き上がらせる役割を担う。しかし、その化学構造によって人体や環境への影響は大きく異なる。
代表的な陰イオン界面活性剤である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)は、極めて高い洗浄力と起泡力を持つため、多くの家庭用洗剤で長年採用されてきた。一方で、分解性が低く、皮膚への刺激性や環境蓄積性が指摘されてきた歴史がある。これに対し、近年使用が増加している非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)は、低温の水でも高い洗浄力を発揮し、皮脂汚れに強いという特徴を持つ。環境科学の視点からは、これらの成分が河川に流出した際の生態系への毒性評価が絶えず行われており、安全性の再検証が進められている。