設備スペックの数値だけでは見えてこないのが、日々の運用の中で生じる利用者同士の摩擦や現場の空気感です。SNSの投稿や大手質問掲示板、現地取材で得られた利用者の率直な証言を突き合わせると、絶賛の陰にあるリアルな本音が浮かび上がってきます。
20代の大学院生(多摩市在住)は、1階の静寂環境について次のように高く評価しています。
「以前の古い図書館は薄暗く、空調の効きやコンセントの少なさに悩まされていました。新オープン後の中央図書館は、1階奥の閲覧席に行けば周囲も学術書を広げた研究者や資格試験の勉強者ばかりで、キーボードの打鍵音や私語に悩まされることがほぼありません。都心の有料コワーキングスペースに通う必要がなくなりました」
その一方で、多摩中央公園に隣接している立地ゆえの課題を指摘する声も少なくありません。週末になると、公園で遊ぶ親子連れや観光客が2階エントランスから大量に流れ込みます。ベビーカーの往来や子どもの話し声、カフェの喧騒が2階を満たすため、静寂な読書を期待して2階のオープン席に座ってしまった来館者からは、「落ち着いて活字に集中できない」「休日は観光地のロビーのような騒がしさだ」という不満の声がSNS等で見受けられます。
また、夏休みや冬休みなどの長期休暇期間には、開館前(午前9時15分前後)から中央図書館の自動ドア前に行列ができる現象が常態化しています。席数が大幅に増強されたとはいえ、電源が使える窓際の特等席やキャレルデスクは、開館からわずか30分で午前中の枠が埋まることも珍しくありません。「気軽に行けばいつでも絶景の席で作業できる」と思い込んでいると、現地で空席待ちを強いられるという手痛い洗礼を受けることになります。