「家での康徳(志村けんの本名)は、テレビで見せる賑やかな姿とはまったく違ってね。本当に無口で、ずっと部屋で台本を読んだり洋楽を聴いたりしているような男でした」
志村知之氏は、懐かしそうに目を細めながらそう語り始めた。厳格だった父親のもとで育った志村家。父が厳しかったからこそ、兄弟の絆は人一倍強かったという。弟が「喜劇王」と呼ばれる存在になってからも、実家に帰ってきたときは静かで気遣いの人だった。
知之氏によれば、弟は正月や盆に帰省するたび、家族や親戚に気付かれないよう、ひっそりと贈り物やお小遣いを用意していた。「あいつは自分の口から『苦労している』なんて絶対に言わなかった。でも、家族を守りたい、喜ばせたいという思いは人一倍強かった。未公開の家族写真を見返すたび、あの照れくさそうな笑顔が昨日のことのように思い出されます」と、知之氏は胸の内を明かす。