メガホンを取った深川栄洋監督の演出術は、役者だけでなく制作陣全員に深いインスピレーションを与えていた。徹底したリアリズムで知られる深川演出は、劇中に登場する医療行為のディテールにも容赦がない。本物の医療器具を使用し、一連の診察動作をワンカットで撮影するシーンでは、現場全体が息をのむような緊迫感に包まれた。
実は、編集段階で断腸の思いでカットされた未公開シーンが存在する。重篤な状態に陥った犬の夜間緊急手術を描いた数分間のシーンだ。あまりにも生々しく重厚な描写であったため放送尺の都合で削られたが、深川監督は「あれこそが現場の真実であり、獣医師たちが背負う日常の重みだった」と振り返る。後日配信予定の特別版での公開が切望されている理由がここにある。