死刑確定後も木嶋の異様な影響力は衰えるどころか、むしろ先鋭化していった。東京拘置所の冷たいアクリル板越しに、彼女はこれまでに3度の獄中結婚を果たしている。相手の中には、事件取材を通じて彼女に接触した大手出版社の編集者すら含まれていた。外部との接触が厳しく制限された極限の密室空間において、言葉と手紙だけで他者の感情を支配する能力は、もはや天性の才能と呼ぶほかない。
佐野眞一が著した『毒婦 木嶋佳苗の100日裁判』にも描かれている通り、木嶋は法廷という極めてアウェイな場にあっても、決して取り乱さず、自らの優位性を誇示し続けた。独特の甘ったるい声、洗練された語彙、そして絶対的な自己肯定感。彼女と直接対峙したジャーナリストや支援者たちすらも、知らず知らずのうちにその引力に引きずり込まれていった現実は、彼女のモテが単なる婚活詐欺の手法に留まらないことを物語っている。