社会運動の旗手としての側面に加え、カルチャー批評の書き手としても渡辺由美子のペン先は極めて鋭い。文藝春秋をはじめとする論壇誌や文芸メディアに寄せられる論考では、大衆文化の表層に隠された階層意識や社会の歪みが、容赦ない筆致で解剖される。
単なる作品の良し悪しを語るレビューとは一線を画す。物語が時代の無意識をどう反映し、いかに生活者の感情を規定しているかを読み解く批評眼は、文芸・言論界からも絶大な信頼を獲得している。社会のリアルを知り尽くした者だからこそ書ける硬派な批評文は、読む者に深い内省を迫る。