文化の伝播ルートを振り返ると、プラットフォームの変遷がミームの性質を決定づけてきたことがよくわかる。2000年代初頭のテキストサイトや匿名掲示板において、西村博之が創設した2ちゃんねるから生まれた「電車男」やアスキーアート群は、日本独自のテキスト主導型ミームの礎を築いた。その後、ニコニコ動画の台頭によってMAD動画やVOCALOIDカルチャーが爆発。映像と音楽を切り貼りするリミックス文化が花開く。
海の向こうでは、海外巨大掲示板Redditが「Image Macro」と呼ばれる画像ミームの世界的ハブとして機能していた。だが、2010年代後半から現在にかけての潮流を決定づけたのは、言うまでもなくアルゴリズム主導の短尺動画プラットフォームだ。
ByteDanceが手掛けるTikTokは、音源の二次創作とダンスの模倣をシステムレベルで標準化した。さらにMeta Platformsが展開するInstagramリールやThreads、そしてリアルタイムな言論と皮肉が交錯するX (ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が追従したことで、ミームの拡散速度はかつての「数週間単位」から「数時間単位」へと超高速化したのである。