渓谷の中ほど、鬱蒼とした木立ちの奥からかすかな水音が響いてくる場所がある。それが「不動の滝」だ。かつて修行僧たちがこの滝に打たれ、その轟くような水音から「等々力」の地名が生まれたという説が残る。この聖域を見下ろす高台に鎮座するのが、平安時代に弘法大師 空海が関東に下った際、霊夢に導かれて開いたと伝えられる等々力不動尊だ。
境内へ続く石段を登りつめると、線香の香りと静謐な空気が迎えてくれる。春には見事な桜、秋には紅葉が渓谷を見下ろす舞台を彩り、併設された甘味処で名物のお茶を味わいながら過ごすひとときは、都内屈指の贅沢な時間といえる。古くからの信仰と自然のエネルギーが溶け合うこの場所は、現代人の疲れた心を解きほぐす隠れたパワースポットとして愛され続けている。