この地域を散策する醍醐味は、植物園単体にとどまらない。一歩外へ出れば、中世から近世へと続く重厚な歴史の地層が顔を覗かせる。室町時代後期、下総から逃れてこの地に拠点を築いた武将・千葉自胤ゆかりの赤塚城跡は、植物園のすぐ目と鼻の先にある。
城跡の高台に立つと、かつて武蔵野の要衝として睨みを利かせていた武士たちの息づかいが伝わってくるようだ。現在は開放的な広場として親しまれており、植物園の緑と一体化した広大な歴史景観を形成している。
さらに足を延ばせば、日本有数の青銅製座像として知られる東京大仏(乗蓮寺)が鎮座する。歴史ある寺院の荘厳な境内と、植物園の豊かな緑を巡るルートは、都内でも屈指のカルチャー&ネイチャートレイルだ。自然と歴史がこれほど密接に溶け合った散歩道は、23区内でも極めて貴重といえる。