ドット絵とは、画面を構成する最小単位である「ピクセル(画素)」の1つひとつに色を配置して描かれたグラフィック表現を指します。英語圏では一般に「Pixel Art(ピクセルアート)」と呼ばれており、本質的な意味に大きな隔たりはありません。ただし、日本国内の現場においては、ファミコン時代などの技術的制約から生まれた商業ゲームグラフィックを「ドット絵」、現代において自覚的な芸術表現・イラスト技法として描かれた作品を「ピクセルアート」と呼び分けるニュアンスが定着しつつあります。
その歴史は、1970年代後半から1980年代のアーケードゲームや家庭用ゲーム機の黎明期に遡ります。当時のハードウェアは極めて限られたメモリ容量しか持たず、扱える色数も1キャラクターあたり3色〜16色程度、解像度も16×16ピクセルや32×32ピクセルといった極小サイズに制限されていました。
当時のグラフィックデザイナーたちは、限られた格子の中で「いかに人間らしく見せるか」「いかに立体感を出すか」という極限の試行錯誤を重ねました。輪郭線をあえて途切れさせて滑らかに見せる目の錯覚や、隣り合う色の配置によって中間色を生み出すディザリング技法など、職人的な工夫の積み重ねによって確立された独自の表現体系こそが、現在のドット絵の源流です。