直面した最大の壁は、英語の原詞をそのまま直訳しても日本の子供たちには情景が伝わらないという点でした。例えば、英語の原曲では「Doe(雌鹿)」や「Ray(一筋の光)」といった単語が使われており、幼い児童が日常でイメージするには少し距離があったのです。
そこでペギー葉山は、自らペンを執り、子供たちの生活に身近な言葉へと大胆に翻案する決断を下しました。「ド」を子供たちが大好きな食べ物である「ドーナツ」に置き換え、「レ」を爽やかな「レモン」とするなど、音名と身近な単語を直感的に結びつける画期的なアイデアを生み出したのです。単なる直訳にとどまらず、歌うだけで情景が目の前に広がる言葉選びを行ったことで、外国の劇中歌は日本の子供たちにとって親しみやすい童謡として生まれ変わりました。