2010年代初頭、ワーナーミュージック・ジャパンから鮮烈なメジャーデビューを果たしたゲスの極み乙女。その屋台骨を支えていたのが、ほな・いこかの冷徹なまでに正確でスモーキーなドラミングだった。コーラスを歌いながら複雑な拍子を刻み、涼しげな横顔でオーディエンスを圧倒する佇まいは、当時の音楽業界に大きな衝撃を与えた。
だが、彼女の中に眠る表現のマグマはバンドという枠組みだけには収まらなかった。2017年、ワタナベエンターテインメントに所属し、「さとうほなみ」として本格的な女優業への進出を宣言する。当時、ミュージシャンの片手間ではないかと冷ややかな視線を向ける向きもあった。しかし、彼女は小劇場の舞台から泥臭く演技の筋肉を鍛え上げ、疑念の声を実力でねじ伏せていった。