ドラム式洗濯機で発生する不具合のツートップである「生乾き臭・下水臭」と「乾燥時間の遅延」には、明確な構造的理由が存在します。ドラム式は少量の水でたたき洗いを行う性質上、水流による洗い流し効果が縦型よりも弱く、糸くずや皮脂汚れ、洗剤カスが機内の特定箇所に沈着しやすい設計となっています。
第1の蓄積ルートは、ドア開口部のゴムパッキン裏とドラム外槽の隙間です。洗濯槽を密閉するための大型ゴムパッキンは、水滴とホコリが最も滞留しやすい場所であり、放置すると数週間で黒カビ(クラドスポリウム等)の温床と化します。さらに、ドラム外槽に付着した皮脂汚れが雑菌のエサとなり、乾燥時の温風によって悪臭成分が揮発して衣類全体に移る悪循環を生み出します。
第2のルートは、乾燥経路のアルミフィン(熱交換器)および内部風道ダクトです。ヒートポンプ式やヒーター式の乾燥運転時、衣類から発生した微細な糸くずは乾燥フィルターをすり抜けてダクトの深部へ侵入します。これが内部の結露水と結合してフェルト状に固着すると、風量が劇的に低下し、「3時間乾燥機を回しても生乾き」「エラーコード(フィルター目詰まり警告)が頻発する」という乾燥不良の決定打となります。
第3のルートは、排水フィルターから排水口トラップへ続く排水経路です。洗剤の溶け残りや柔軟剤の油分、泥汚れがヘドロ化してトラップ内に溜まると、排水がスムーズに行われなくなります。封水(下水臭の逆流を防ぐ水)が破壊されたり、滞留したヘドロから立ち上る異臭が機内に逆流したりすることで、洗濯直後の衣類に不快な下水臭を付着させる原因になります。