扉を開けた瞬間に飛び散る白い粉とゼリー状の粒の正体は、オムツの内装素材である綿状パルプと、水分を吸って膨らむ高分子吸水ポリマー(SAP)です。通常の洗濯だけであればポリマーは水分を含んでブヨブヨと膨張した状態にとどまりますが、ドラム式の温風乾燥まで回してしまうと、熱によって半乾燥状態となり、細かく砕かれて衣類や洗濯槽の隙間、さらには温風が通るダクトの深部まで強力に吸着・飛散してしまいます。
この大惨事に対処する際、多くの人が犯してしまう最大の過ちは「慌てて水で洗い流そうとする」行為です。水分を与えると、熱で収縮しかけていたポリマーが再び水分を吸収して数倍から数十倍に膨れ上がり、ドラム内部の細いスリットや排水経路を塞いでしまいます。扉を開けてオムツの爆発を確認した直後は、電源プラグを抜き、絶対に水を追加しないことが鉄則です。
決定的な初動は、ドラム内が完全に乾いている段階で、目に見えるポリマーと紙くずを徹底的に「乾式回収」することに尽きます。ドラムの内壁、ドラムの奥にあるパンチング穴、そしてドアのゴムパッキン(ベロー)の溝に挟まったポリマーを、使い捨てのドライシートやウエス、ブラシを使ってかき集めます。掃除機を使用する場合は、ノズルの先端にストッキングや薄いストレーナーを被せて吸い込むことで、掃除機自体のフィルター目詰まりや故障を防ぐ配慮が欠かせません。