愛らしいビジュアルの裏に張り巡らされた、緻密で少しビターな設定の数々は、今読んでも鳥肌が立つほどモダンだ。ドラえもんが黄色い耳をネズミにかじられ、涙でメッキが剥がれて青くなったという悲喜劇は有名だが、その動力源が「超小型原子炉」であるという初期設定や、定期検診をサボり続けているポンコツ設定など、文明に対するアイロニーが随所に散りばめられている。
『パーマン』におけるコピーロボットの存在もそうだ。自分がヒーロー活動をしている間、身代わりとして生活を送るロボットが抱く「自分は本物の影に過ぎないのか」というアイデンティティの揺らぎ。あるいは『エスパー魔美』で描かれる超能力の代償と肉体疲労。日常のわずか数ミリ隣にある非日常を描く言葉、「SF(すこし・ふしぎ)」の真骨頂は、読者の甘えを許さないリアルな質量を伴った設定の硬度にある。