今注目を集めている ドラえもん映画を創った男・芝山努の演出術と知られざる制作秘話について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。

芝山努のキャリアの原点は、日本のアニメーション産業の礎を築いた東映動画(現・東映アニメーション)への入社にある。高畑勲や宮崎駿、大塚康生といった伝説的なクリエイターたちが熱気を生み出していた時代、芝山はアニメーターとしての基礎を徹底的に叩き込まれた。線の美しさだけでなく、重力や慣性、感情の動きをいかに誇張と写実のバランスで描き出すかという課題に、若き日の彼は没頭していく。

その後、Aプロダクション(現・シンエイ動画)へと拠点を移した芝山は、数々のテレビアニメで辣腕を振るう。『巨人の星』や『天才バカボン』、『ど根性ガエル』といった時代を象徴する作品で作画監督や絵コンテを担当し、コメディからシリアスドラマまで自在にこなす柔軟な演出感覚を磨き上げた。アニメーションが単なる子供向けの見世物から、豊かな表現力を持つ大衆文化へと変貌を遂げる激動の現場で、彼は常に第一線に立ち続けた。

1978年、芝山は盟友である小林治や山田みちしろらと共に制作会社「亜細亜堂」を設立する。スタジオの看板となったのは、派手な演出よりもキャラクターの日常や人間味を丁寧に描き出す職人気質の作風だ。この亜細亜堂の設立こそが、のちに日本中を魅了する数々の名作アニメーションを生み出す揺るぎない土台となった。