ヘドロと破片が堆積する極限の環境下で、陸上自衛隊の隊員たちは素手やショベルを使い、遺体の手繰り寄せを行った。冷却材も不足する真夏日に至るまで、連日行われた捜索作戦は隊員たちの肉体と精神を激しく削りとった。
しかし、現場で貫かれたのは「一人でも多く、必ずご遺族の元へ届ける」という揺るぎない尊厳の哲学だった。遺体を発見した際には、作業の手を止め、全員で回向を捧げてから慎重に搬送する。この過酷な現場経験は、その後の自衛隊の災害派遣における遺体収容プロトコルやメンタルヘルスケアのあり方を根本から変身させる契機となった。