都心部で相次ぐ進化の背景には、行政と民間事業者がタッグを組んで推進する「TOKYO NIGHT CAFESプロジェクト」の本格始動がある。かつて治安対策や労働環境の観点から制限されがちだった夜間営業だが、安全性の高い認証制度とデザイン助成が整ったことで、質の高い店舗が続々と誕生した。
設計思想も極めて先鋭的だ。建築家・隈研吾氏の建築美学に通じる温もりある木素材や自然光の余韻を生かした内装が広がり、無機質な深夜の街に贅沢な居心地を提供している。その店内に漂う空気は、まるで作家・村上春樹の長編小説に登場する「現実と非現実の境界にある深夜のロケーション」そのもの。単に営業時間を延ばしただけではない、文化的な深みがそこには存在する。