人形焼の起源を辿ると、江戸時代の日本橋人形町に行き着く。当時は七福神や文楽人形を模した焼き物が始まりとされ、庶民の気軽なおやつとして親しまれた。明治時代以降には浅草にも伝わり、五重塔や雷門などを象った浅草流の人形焼が確立されることになる。
職人のこだわりは生地の配合と餡のバランスに尽きる。卵、砂糖、小麦粉を絶妙な塩梅で混ぜ合わせた生地は、冷めてもしっとり感を失わない。中のあんこはこし餡が主流だが、つぶ餡や餡なしの「から焼き」を好むファンも多い。気候に合わせて火力を微調整する職人の指先には、言葉で語り尽くせない長年の勘が宿っている。