ここで重要なのは、「東京都新宿区新宿3-34-9=詐欺グループの本拠地」と決めつけてしまうのは短絡的な誤解であるという点です。
商業ビルのオーナーや正規の管理会社、そしてビル内で営業する飲食店やサロンは、むしろ住所を無断悪用された側の被害者と言えます。悪質業者が新宿の一等地を偽装住所に選ぶ背景には、消費者心理を巧妙に突いた2つの構造的理由があります。
第1に、都市名のブランド力による安心感の演出です。地方都市の山間部や海外の無名地域よりも、「新宿区」という日本有数のビジネス街の住所を記載した方が、消費者が抱く警戒心を大幅に緩和させることができます。
第2に、実在確認のハードルを高めるカモフラージュ効果です。架空の住所(存在しない町名や番地)を記載すると、地図アプリで検索した際にエラーが出るため、即座に見破られてしまいます。あえて実在する大型ビルや雑居ビルの住所を拝借することで、Googleマップ等で検索したユーザーに「確かにビルが存在する」と誤認させるトラップを仕掛けているのです。