では、なぜこれほど多くの人がこの言葉の意味を勘違いしてしまうのだろうか。鍵は「置けない」という打ち消しの表現にある。
私たちは無意識のうちに「気を置く」という動作をポジティブなもの、あるいはニュートラルなものとして捉えがちだ。しかし、この場合の「気(配慮や遠慮)」を「置く(相手との間に設ける)」という意味がベースにある。つまり、遠慮を置く必要がないからこそ「気の置けない」関係になるのだ。この文脈をすっ飛ばして「気を許してはいけない」というニュアンスに脳内で変換されてしまうのが、誤用のメカニズムである。