事故から四半世紀以上が経過した現代のネット空間には、衝撃的な見出しとともに事実無根のグロテスクな画像が「大内久の遺体写真」として拡散されるケースが散見される。海外の重度熱傷患者の画像などを無断転載したデマ写真が一人歩きしている現状は、この事故の本質を見誤らせる危険を孕む。
実際の記録は、センセーショナリズムとは対照的に、極めて静かで残酷だ。多くの災害調査ノンフィクションが指摘するように、大内氏は搬送直後、意識清明で会話も交わし、外見上は右手にかすかな赤みがある程度だった。外見の劇的な変化がないまま、内側から生命の維持機能が崩壊していく過程こそが、高線量被曝の本質である。医療チームが残した克明な臨床データと病理写真こそが、フェイク情報に惑わされないための唯一無二の真実である。