巣鴨の教育を語る上で欠かせないのが、身体と精神を極限まで鍛え上げる名物行事の数々である。中でも最大の象徴と言えるのが「大菩薩峠越え強歩大会」だ。夜を徹して約36キロメートルに及ぶ山道を歩き抜くこの行事は、生半可な体力では乗り切れない。
漆黒の闇の中、冷気と疲労が押し寄せる山道を一歩一歩進む経験は、生徒たちの内面に圧倒的な自律心と忍耐力を刻み込む。途中で挫けそうになる自分と向き合い、友と声を掛け合いながら踏破した記憶は、その後の過酷な受験勉強を乗り越える鉄壁のメンタルへと変換されていく。
また、厳冬の早朝6時から開始される伝統の寒稽古も同校のアイデンティティそのものだ。冷え切った空気の中で剣道や柔道、剣舞に励む時間は、単なるスポーツの域を超えた精神修養の場である。こうした心身の鍛錬があるからこそ、困難にぶつかっても動じない強い個が育つ。