東出昌大の心を射止め、新たな人生の伴侶となったのは、元女優の松本花林だ。彼女はかつて映像や舞台の世界で表現者として活動していた経歴を持ちながらも、華美な表舞台から潔く身を引き、自然豊かな山間での暮らしを選び取った人物である。
ふたりの接点は、後輩俳優たちが東出の山小屋へ通い、共同で農作業や狩猟の手伝いを始めたことに端を発する。都会の喧騒から遠く離れた山中では、誰もが肩書を剥ぎ取られた一人の生身の人間として汗を流す。厳しい冬の寒さや獲物を解体する過酷な作業を共有するなかで、互いへの信頼は自然と深まっていった。
電撃婚の発表とともに明らかになった妊娠の報せは、ふたりが新たな命を迎え、この山で骨を埋める覚悟を固めた証左でもあった。周囲に飾ることのない自然体の笑顔を見せる彼女の存在は、傷を負った東出にとって何物にも代えがたい安らぎとなったに違いない。