アクアリウムやビオトープ人気に伴い、幼魚のドイツ鯉をペットショップで見かけて飼育を始める人が増えています。しかし、そこには事前に知っておくべき重大な現実と誤解が存在します。
最も注意すべきは「凄まじいスピードでの巨大化」です。前述の通り、ドイツ鯉は短期間で肉量を増やす食用として品種改良された歴史を持ちます。そのため、一般的な金魚や小型観賞魚と同じ感覚で60cm程度の水槽で飼育を始めると、わずか1〜2年で30cmを超え、最終的には体長70〜80cmに達します。
「小さな水槽で飼っていれば魚も大きくならない」という俗説がありますが、ドイツ鯉には通用しません。水槽が狭ければ骨格が歪んで奇形になったり、強烈な遊泳力で水槽のガラス面やフタに激突して大怪我を負う原因になります。ドイツ鯉の飼育には、最低でも120〜180cm以上の大型オーバーフロー水槽、あるいは屋外の専用池設備が不可欠です。
また、「鱗がないから皮膚病にかかりやすい」という誤解もありますが、実際には一般的なコイと同等以上に強健で、日本の厳しい冬でも水面が凍るような環境下で越冬できる驚異的な耐寒性を備えています。ただ、硬い鱗のガードがない分、岩組みなどの鋭利なレイアウトにぶつかると地肌に傷がつきやすいため、水槽内のレイアウトには丸みのある素材を選ぶといった配慮が求められます。