香川県といえば、言わずと知れた讃岐うどんの聖地。夜明けとともに湯気を上げる製麺所に通い、打ち立て・茹でたての麺を一気にすする「朝うどん」は、この地域に何十年と根付いてきた揺るぎない生活様式である。イリコ出汁の香りが早朝の町に漂う光景は、香川ならではの原風景といってよい。
しかし現在、三豊を中心とした外食産業には明確な地殻変動が起きている。伝統的な麺文化を愛する土壌があるからこそ、住民たちは「朝外食」に対して極めてポジティブだ。その下地の上に、現代的なベーカリーカフェやエスプレッソスタンドが自然と溶け込んだ。うどん一杯で素早くエネルギーをチャージする日常と、休日に時間をかけて楽しむ優雅な朝食。二つの潮流が反発することなく共存し、独自のモーニングシーンを形成している。