日本の理化学研究所をはじめとする世界のトップ研究機関では、クライオ電子顕微鏡や最先端のスーパーコンピューティング技術を駆使し、細胞核内における染色体の動的な3次元構造を生きたまま捉える研究が熱を帯びている。静止したイメージとして描かれがちだった染色体だが、実際には細胞の活性に応じて絶えず形を変え、柔軟に蠢いていることが明らかになってきた。
DNAというミクロな分子の配列と、染色体というマクロな立体構造の相互作用をリアルタイムで追跡する技術は、加齢に伴うゲノムの劣化を防ぐアンチエイジング研究や、再生医療における細胞リプログラミングの成功率を飛躍的に高める可能性を秘めている。遺伝情報の単なる解読から、構造体の動態制御へ——生命科学は今、全く新しい次元へと足を踏み入れている。