なぜ私たちは、悲惨なニュースに対してこれほどまでに冷淡になれるのだろうか。精神医学の専門家は、これを「共感疲労(Compassion Fatigue)」の末期症状だと指摘する。人間の脳は、毎日世界中で起きているすべての悲劇に寄り添えるようには設計されていない。
処理能力を超える「むごさ」を浴び続けた結果、脳は自己を守るために感情のスイッチをオフにする。心が麻痺し、何も感じなくなるのだ。この状態が続くと、身近な家族や友人の小さなSOSに対しても鈍感になっていく。社会のデジタル化が進む一方で、個人の地元のコミュニティや人間関係が希薄化していく背景には、この慢性的な共感疲労がある。