首脳外交のテーブルには常に、国内世論という見えない怪物が同席している。日本の石破茂首相と韓国の尹錫悦大統領。両リーダーが交わす握手の力加減一つに、外交筋の神経が研ぎ澄まされる。表面的な融和ムードを演出するのは容易だが、一歩引けば両国の保守・リベラル双方が虎視眈々と相手の失言や弱腰を突こうと待ち構えているからだ。
霞が関の外務省とソウル市鍾路区の大韓民国外交部の間では、連日のように水面下の情報戦が繰り広げられている。北朝鮮の核・ミサイル脅威や台湾海峡を巡る緊張が一段と高まるなか、実務者レベルでの連携は待ったなしだ。だが、過去の経緯をめぐる妥協は国内での政治的自殺を意味しかねない。このギリギリの綱渡りこそが、現代の日韓外交における最もリアルな風景といえる。