『死の舞踏』を巡る美学は、中世の壁画にとどまらず、世界中の名立たる美術館のコレクションとして脈々と受け継がれている。フランスのルーヴル美術館が所蔵する中世からルネサンスにかけての版画や密教的デッサン群は、疫病の記憶を美へと昇華させた人類の執念を物語る。
日本国内においても、東京・上野の国立西洋美術館などが所蔵する西洋版画コレクションを通じて、この深遠なテーマを観賞することができる。ガラス一枚を隔てて対峙する骨と肉体の対比は、何百年もの時を隔てた今なお、観る者の背筋を冷ややかに凍らせる衝動を秘めている。