奈良県南部に位置する五條市西吉野町は、古くから柿や梅の日本屈指の産地として知られています。その山懐に佇む「農悠舎王隠堂」は、減農薬・有機栽培の先駆者として名高い王隠堂農園の直営レストランです。屋敷の門をくぐると、手入れの行き届いた日本庭園と、黒光りする太い梁が支える母屋が訪れる者を迎えます。
この建物は江戸時代後期の建築と伝えられ、国の登録有形文化財に登録されている貴重な遺構です。かつて地域の暮らしを支えてきた空間には、畳の香りと心地よい風が通り抜け、まるで時が止まったかのような静寂が漂います。農悠舎王隠堂のコンセプトは「農ある暮らしの豊かさを五感で伝えること」。ただ食事を提供する場にとどまらず、地域の食文化や風土の物語を伝える発信拠点として、多くの旅人に愛されています。