地獄の黙示録はなぜ狂気なのか?難解ラストの真相と各版の違いを解剖

地獄の黙示録はなぜ狂気なのか?難解ラストの真相と各版の違いを解剖

地獄の黙示録はなぜ狂気なのか?難解ラストの真相と各版の違いを解剖について見逃せない 理由を分かりやすく解説いたします。

詳細を見る

物語の舞台は、ベトナム戦争が泥沼化の極みに達していた1969年。サイゴンのホテルで酒に溺れ、精神を蝕まれていたアメリカ陸軍空挺部隊のウィラード大尉(マーティン・シーン)は、軍上層部から極秘任務を命じられます。それは、カンボジア国境奥地のジャングルに独自の王国を築き、軍の統制を完全に離脱した元エリート将校、ウォルター・E・カーツ大佐(マーロン・ブランド)を暗殺(「任務の痕跡を残さず抹殺」)することでした。

ウィラードは海軍の警備艇(PBR)に乗り込み、個性豊かな若い乗組員たちと共にナン川を遡上する過酷な旅へと出発します。道中で彼らが目撃するのは、常軌を逸した戦争の現実でした。ワーグナーの楽曲『ワルキューレの騎行』を大音量で鳴り響かせながらベトコンの村を無差別にナパーム弾で焼き払うキルゴア中佐、物資補給地で開かれるプレイボーイ・プレイメイトによる慰問ショーと暴動、そして見えない敵の恐怖に怯えて無実の民間人船を虐殺してしまう乗組員たち――。川を上るにつれて、一行は文明の規範から遠ざかり、原初的な狂気の深淵へと引きずり込まれていきます。

乗組員たちが次々と命を落とすなか、ウィラードはついにカンボジア奥地にあるカーツの王国へ到達します。そこには首級や死体が散乱し、原住民や脱走兵たちがカーツを絶対的な神として崇拝する異様な光景が広がっていました。一度は捕らえられたウィラードでしたが、カーツと対話を重ねる中で、彼が単なる狂人ではなく、戦争の無意味さと軍上層部の欺瞞に絶望した末に独自の論理に到達した天才であることを悟ります。

そして儀式の夜、村人たちが水牛を生贄としてナタで屠殺する儀式を執り行う中、ウィラードはマチェーテ(大型の山刀)を手にカーツの私室へ潜入します。カーツは抵抗することなくその刃を受け入れ、最期に「恐怖だ、恐怖だ……(The horror, the horror)」という言葉を遺して息絶えます。ウィラードはカーツの残した手記を回収し、ひれ伏す先住民たちの崇拝を拒絶して、生き残った兵士ランスと共に再びボートに乗って闇の川を下っていくのでした。

小林 直樹
Author

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。