市川蒼の名を世界中のアニメファンに強烈に焼き付けたのが、ヒット作『地獄楽』での熱演だ。過酷な運命に翻弄されるキャラクターたちの生死を描いたダークファンタジーの世界観の中で、彼の声は異彩を放っていた。
命のやり取りが日常茶飯事である緊迫した極限状態。狂気と理性が背中合わせのシチュエーションにおいて、冷徹な響きの中に一筋の人間味を忍ばせる匙加減は見事の一言に尽きる。激しいバトルアクションの裏にある葛藤や葛藤の果ての諦念を、過度な誇張なしに表現してみせた。視聴者の心根を揺さぶるこのリアリティこそ、彼がダークファンタジーという難易度の高いジャンルで重用される最大の理由だ。