一族の栄華を象徴するのが、小田原藩への入封である。関東の要衝であり、東海道を扼する軍事・交通の最重要拠点・小田原。ここに十万石余の領主として君臨した事実は、徳川幕府がいかにこの血統を重用し、信頼を寄せていたかを雄弁に物語る。
譜代大名として老中などの要職を歴任し、幕政の意思決定に深く関与した彼らの統治手腕は極めて堅実だった。領内治水や街道整備、宿場町の統制など、小田原の町に今も残る都市機能の基盤は、この時期の綿密な民政によって培われたものだ。武辺者から官僚政治家へ。権力の中心地で生き残るための適応力は、他の大名家と比べても群を抜いていた。