企画の始動から劇場公開まで、およそ15年。並の俳優ならとっくに熱を失い、企画そのものがスタジオの書架で埃を被っていたはずだ。だがドウェイン・ジョンソンは諦めなかった。「善人ではないが、悪人でもない」。彼が演じたテス・アダムは、DCコミックスが誇るスーパーマンのような高潔なモラルを持たない。法を重んじることもなければ、敵に慈悲をかけることもしない。目の前の脅威を文字通り両断し、瓦礫の山を築き上げる。
ジョンソンが目指したのは、ハリウッドの優等生的なヒーロー像に対するアンチテーゼだった。妥協のない肉体改造、CGに頼り切らない重量感あふれるアクション、そして何よりも「神の力を持った独裁者」という危ういバランス。彼がこのキャラクターに託したのは、単なるコミック映画の1ピースではなく、自身がプロデュースを含めてスタジオの舵取りを担うという野心そのものだったのだ。