アストロズを巡る騒動の中で、野球ファンのみならず一般社会から絶大なリスペクトを集めたのが、一連の事件に対するダルビッシュの神対応でした。その姿勢は差別行為を受けた直後から徹底していました。
2017年、グリエルによる差別的ジェスチャーが発覚した直後、ダルビッシュはSNSを通じて次のような英語のメッセージを発信しました。
「誰しも完璧ではありません。彼も過ちを犯したかもしれないが、私たち全員がそこから学び、前進する機会にすべきです。怒りにエネルギーを費やすのではなく、ポジティブな変化のために行動したい」
人種差別の被害者でありながら、加害者を過度に攻撃せず、人間の不完全さを受け入れて教育的な解決を促すこの声明は、米CNNやニューヨーク・タイムズなど主要メディアで大きく報じられ、「真のアスリートの気品」として称賛を浴びました。
さらに2019年末から2026年にかけてサイン盗みの全貌が暴かれた際、ダルビッシュが見せたユーモアと達観の混ざった発信は、深刻なスキャンダルに沈む米球界を救う清涼剤となります。自身のYouTubeチャンネルやX(旧Twitter)において、「自分のクセ(ティッピング)が原因じゃなかったと分かって、正直ホッとした部分もある」「もしドジャースのパレードを今からやるなら、自分専用のトロフィーも作ってほしいな」と冗談交じりに語り、重苦しい空気を和らげました。
アストロズの選手たちが2026年の春季キャンプで開いた形ばかりの謝罪会見に対しても、ダルビッシュは「選手たちが自分たちの言葉で心から話しているようには見えなかった。上の人間から言わされている印象を受けた」と冷静に本質を突きつつも、「彼らを一生恨み続けるつもりはない。自分は自分の投球を磨くだけ」と宣言。復讐心や被害者意識に囚われないその毅然とした生き様は、日米のファンに強烈なインパクトを残しました。