『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2026』を語る上で欠かせないのが、長年クラブリーダーを務める稲垣吾郎の存在感だ。小学生たちで構成された「ほん怖クラブ」のメンバーとともに、無邪気な掛け声「イワコデジマ、イワコデジマ……」を唱えるパートは、視聴者にとって張り詰めた恐怖を一時的に和らげるオアシスのように機能する。
しかし、その穏やかなトーンこそが、直後に突きつけられる凄惨な恐怖との強烈なコントラストを生み出す。不穏な空気感を漂わせながらも、怪異をただ恐れるのではなくどこか静かに観察するような稲垣の佇まいは、番組全体に上品なミステリーの質感を与えている。日常と非日常の境界線に立つ案内人として、彼の立ち振る舞いはもはやこのオカルト特番の象徴であり、唯一無二の装置といえるだろう。