インターネット上の口コミやグルメコミュニティでは、「稲庭うどんを買ったけれど普通のうどんと変わらなかった」という声が散見されます。しかし、その多くは2つの決定的な盲点に起因しています。
第1の誤解は、「生麺の方が乾麺より高級で美味しい」という思い込みです。一般的なうどんでは打ち立ての生麺が尊ばれますが、稲庭うどんは元来、乾燥と熟成を計算に入れて職人が塩分濃度や綯い具合を極限まで調整する「完全乾燥型の手工芸品」です。良質な乾麺を正しく茹で戻した瞬間にこそ、門外不出とされた本来の弾力としなやかさが蘇ります。
第2の盲点は、家庭での「茹で方と洗い工程」の不足です。稲庭うどんの表面には打ち粉やデンプンが含まれており、茹で上がった直後に流水で両手を使ってしっかり揉み洗いし、表面のぬめりを完全に洗い流さなければなりません。仕上げに氷水でしっかりと締めることで、初めてシルクのような舌触りと強いコシが生まれます。沸騰したたっぷりのお湯(麺100gに対して水1リットル以上)で約3分〜3分半茹でる時間を守ることも重要です。