エントランスを抜けた瞬間、誰もが視線を奪われる。館内を彩るのは、愛媛が誇る匠の技と現代アートの刺激的なコラボレーションだ。大浴場の壁面には、砥部焼の陶板で作られた巨大な壁画が堂々とそびえ立つ。光の当たり方や時間帯によって表情を変える山水画の風情は、まるで美術館の巨大キャンバスの前に佇んでいるかのような錯覚さえ抱かせる。
天井を見上げれば、手織りの伊予かすりや繊細な伊予水引が独自の陰影を生み出している。伝統工芸・飛鳥時代建築の意匠を現代的な解釈で再構築した空間デザインは、細部に至るまで妥協がない。ただ身体を洗うだけの場所ではない。空間そのものがひとつの文化的体験として機能しているのだ。