かつてVシネマ全盛期を彩った『実録・稲川会』などの作品群は、激しい抗争と任侠美談を過剰に演出し、大衆の好奇心を刺激した。だが時代の進展とともに、メディアが向ける視線は大きく変化していく。その象徴となったのが、密着ドキュメンタリー映画の名作『ヤクザと憲法』だ。暴力団排除条例によって人権を極限まで制限される構成員たちの日常を映し出し、社会に強い衝撃を与えた。
昨今の調査報道・出版メディア業界においても、裏社会を単なるエンターテインメントとして消費する姿勢は影を潜めつつある。NetflixやU-NEXTといったグローバル配信プラットフォーム上では、綿密な取材に基づく実録犯罪ドキュメンタリーが世界的な人気を獲得している。虚飾を剥ぎ取られたリアルな裏社会の姿を前に、観客は現代社会の暗部と法の限界を問い直すことになった。