ダンボールを用いた簡易防音の概念を世に知らしめた金字塔といえば、神田工業株式会社が製造を手がけた簡易防音室「だんぼっち」だ。かつてトップYouTuberのヒカキンが自身のチャンネルで実際に組み立てて検証したことで、防音設備はスタジオ工事から「ネットで買って部屋に置く家具」へとパラダイムシフトを起こした。この成功体験が、後の小型化・頭部装着型防音ツールのブームへと直結している。
だんぼっちは特殊強化段ボール「ハニカム段ボール」を採用し、強固なリブ構造と適切な容積によって遮音性能を成立させていた。だが、これを「頭部だけ」に縮小した製品や自作試みは、容積の小ささゆえに定在波が発生しやすく、発声者が自らの声の跳ね返りで耳を痛めるリスクを抱えることとなった。歴史を振り返れば、ダンボール防音の進化は常に「小型化と音響クオリティのトレードオフ」との戦いだった。