『丹波に出雲といふ所あり』は、高校・中学校の定期テストにおいて文法問題の宝庫として頻繁に出題されます。特に「係り結び」「完了・存続の助動詞の識別」「敬語の方向」「古語特有の意味」の4点は合否を分ける重要ポイントです。
最重要の一文を品詞分解で精読する
定期テストで最も細かく問われるのが、神官のセリフから結末に至るクライマックスの一節です。
【対象文】
「さがなき童べどものつかまつりしわざにて、御覧じ咎めらるる、あさましく候ふ」とて、さし寄りて、据ゑ直して去にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。
【品詞分解の詳細】
- さがなき:形容詞(ク活用)「さがなし」の連体形。「いたずらな」「たちの悪い」。
- 童べ:名詞。「子どもたち」。
- ども:接尾語。複数を表す「〜たち」。
- の:格助詞。主格「〜が」。
- つかまつり:ラ行四段動詞「つかまつる」の連用形。謙譲語「いたす」「お〜申し上げる」(ここでは神官から参拝者へのへりくだり、または客観的な丁寧な表現)。
- し:過去の助動詞「き」の連体形。
- わざ:名詞。「仕業」「こと」。
- にて:格助詞。「〜であって」。
- 御覧じ咎め:マ行下一段動詞「御覧じ咎む」の連用形。尊敬語「おとがめになる」「不審にお思いになる」。
- らるる:受身の助動詞「らる」の連体形。「〜される」。全体で「おとがめを受けなさる」。
- あさましく:形容詞(シク活用)「あさまし」の連用形。「あきれたことに」「情けないことに」。
- 候ふ:ハ行四段動詞「候ふ」の終止形。丁寧語「〜でございます」。
- とて:格助詞(引用「と」+接続助詞「て」)。「〜と言って」。
- さし寄り:ラ行四段動詞「さし寄る」の連用形。「近寄って」。
- て:接続助詞。「〜て」。
- 据ゑ直して:ワ行下二段動詞「据ゑ直す」の連用形+接続助詞「て」。「据え直して」。
- 去に:ナ行変格活用動詞「去ぬ(いぬ)」の連用形。「立ち去る」。テストで活用形式が問われやすい超頻出単語。
- けれ:過去の助動詞「けり」の已然形。
- ば:接続助詞(順接確定条件)。「〜ので」。
- 上人:名詞。
- の:格助詞(主格)。
- 感涙:名詞。「感動の涙」。
- いたづらに:形容動詞(ナリ活用)「いたづらなり」の連用形。「無駄に」「むなしく」。
- なり:ラ行四段動詞「なる」の連用形。
- に:完了の助動詞「ぬ」の連用形。
- けり:過去(または詠嘆)の助動詞「けり」の終止形。「〜てしまった」。