現在、世界の化学業界で最も激しい議論が交わされているテーマが、有機フッ素化合物(PFAS)をめぐる規制強化と代替物質の開発だ。フッ素化学工業のパイオニアとしての誇りを持つ同製作所は、この難題から逃げることなく正面から挑んでいる。
国家的な支援の枠組みや経済産業省の呼びかけとも歩調を合わせ、推進されているのが「PFAS代替技術開発プロジェクト」だ。従来のフッ素化合物が持つ「耐熱性」「撥水・撥油性」「電気絶縁性」といった突出した機能を維持しつつ、環境残留性や生物蓄積性のリスクを完全に排除した新素材の創出。それは分子レベルでの設計変更を伴う極めて難易度の高い作業だ。研究室では数千通りの化合物をスクリーニングし、失敗と試行錯誤を繰り返しながら、世界標準となり得る代替解を形にしつつある。