1980年代後半、フジテレビ系列で放送が始まった冠番組『志村けんのだいじょうぶだぁ』は、瞬く間に全国の子供たちを虜にした。ゴールデンタイムのお茶の間を独占した名物コントの数々は、実は想像を絶する張り詰めた空気の中で制作されていたという。
当時の制作スタッフや所属事務所のイザワオフィス関係者が語る裏話によれば、志村は太鼓の鳴りの良さや重さ、叩いたときのマイク乗りまでミリ単位で調整を重ねていた。スタジオのリハーサルでは、音のタイミングがコンマ何秒ずれただけで何度もやり直す徹底ぶりだった。一見すると突拍子もないナンセンスな笑いだが、その裏には極限まで研ぎ澄まされたテンポとリズムの美学が存在していたのだ。