大塚明夫氏が演じてきたキャラクター群を振り返ると、日本のポップカルチャー史を彩る金字塔的タイトルがずらりと並びます。作品のジャンルや媒体を問わず、登場人物の内面にある美学や哀愁、狂気を巧みに引き出す芝居は、国内外のファンから絶賛されてきました。
アニメ分野における代表作として外せないのが、手塚治虫原作の医療ドラマ『ブラック・ジャック』の主人公・間黒男(ブラック・ジャック)です。法外な治療費を請求しながらも命の本質と真摯に向き合う孤高の天才外科医を、時に冷徹に、時に温かい人間味を滲ませて演じきり、まさに「ブラック・ジャックの声=大塚明夫」という絶対的なイメージを決定づけました。また、SFアニメの金字塔『攻殻機動隊』シリーズのバトー役では、サイボーグでありながら誰よりも人間臭い義理堅さと切なさを表現し、世界中のSFファンを唸らせました。
さらに、『ONE PIECE』のマーシャル・D・ティーチ(黒ひげ)役では、「人の夢は!!! 終わらねェ!!!!」という名台詞とともに、底知れない野心と豪快さを併せ持つ唯一無二の悪役像を構築。『僕のヒーローアカデミア』の巨悪オール・フォー・ワン役では、静謐でありながら圧倒的な絶望感を与える知的な悪の支配者を見事に演じ分けています。その他にも、『Fate/Zero』のライダー(征服王イスカンダル)における豪放磊落な覇気、『BLEACH』の京楽春水における飄々とした佇まいと深謀遠慮のコントラストなど、枚挙にいとまがありません。
洋画吹き替えの世界でも、スティーヴン・セガール、デンゼル・ワシントン、ニコラス・ケイジをはじめとする世界的名優の専属(フィックス)に近い形で数多くの名演を残しており、洋画ファンの間でもその信頼感は別格です。