王騎を演じるにあたり、大沢が直面したのは人間離れした原作の体躯をどう具現化するかという巨大な壁だった。彼が選んだのは、特殊メイクやCGスーツに頼り切る安易な道ではない。自らの肉体を極限まで追い込む過酷なバルクアップだった。
1日に数回に分けた徹底的なタンパク質摂取と、想像を絶する高負荷トレーニング。体重はシリーズを追うごとに増量され、ピーク時には20キロ近く増量されたという。腕周りは目に見えて太くなり、特注の甲冑ですら撮影期間中にサイズ変更を余儀なくされたほどだ。肩をすくめ、巨体を揺らしながら独特のリズムで歩く姿は、作り物の怪物ではなく、戦場に君臨する武将そのものの質量を帯びていた。
さらに異様な迫力を生み出したのが、あの声と表情のコントロールだ。原作特有の台詞回しを実写のスクリーンで違和感なく響かせるため、低音の響きと独特のイントネーションを徹底的に研究。優雅でありながら底知れぬ恐怖を与える「怪演」は、緻密な計算と肉体的な説得力が融合した結果にほかならない。