大嶽部屋の歩みは、決して平坦な道ばかりではありませんでした。2010年に起きた角界の不祥事によって前師匠が解雇された際、部屋付き親方だった元大龍が急遽部屋を継承し、17代大嶽親方として再出発を切りました。当時、部屋の存続すら危ぶまれる極めて重苦しい空気の中、親方とともに弟子たちの生活を守り、部屋の信頼回復に奔走したのがおかみさんでした。
特に注目を集めたのが、大鵬の血を引く「納谷三兄弟」の入門です。なかでも三男の王鵬(本名:納谷幸之介)は、偉大な祖父の看板を背負う重圧と戦いながら番付を上げてきました。おかみさんは、彼らを特別扱いすることなく、一人の弟子として他の力士たちと全く同じ愛情を注ぎ、日々の食事管理や精神面のケアを徹底して行いました。
現在の大嶽部屋は、東京都江東区清澄に拠点を構え、朝の激しい稽古の厳しさと、稽古場を離れた際の家庭的な温かさが共存する理想的な環境が整っています。稽古後のちゃんこ場には弟子たちの笑い声が響き、師匠とおかみさんを中心とした強固な信頼関係が築かれています。